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全国各地の水道水におけるPFAS(有機フッ素化合物)の含有量調査結果が国によって初めて公表されました。その結果、過去4年間で14箇所において、国の暫定目標値を超えるPFAS濃度が検出されたことが明らかになりました。しかし、今年度はすべての検査箇所で目標値を下回っており、状況は改善傾向にあるようです。
ただし、全体の4割にあたる水道事業者や自治体が検査を実施していなかったり、結果を報告していなかったりするなど、検査体制の徹底が今後の課題として浮き彫りになりました。
PFASの中でも、特にPFOSとPFOAは有害性が指摘されており、国は水道水1リットルあたり50ナノグラムを暫定目標値としています。今回の調査では、2020年から2022年度にかけて、複数の地域でこの目標値を大きく上回るPFAS濃度が検出されました。岡山県吉備中央町では、最大で暫定目標値の28倍にあたる1400ナノグラムが検出された事例もありました。
これらの地域では、水源の切り替えなどの対策が実施され、現在はすべて目標値を下回っています。しかし、今年度も30か所で目標値の半分(25ナノグラム)を超えるPFASが検出されており、継続的な監視が必要です。
また、PFASの排出源についてはほとんど特定されておらず、更なる調査が必要とされています。国は、この調査結果を踏まえ、暫定目標値を法律で定められた水質基準に引き上げるかどうか検討を進めています。
一部の自治体では、過去に暫定目標値を超えるPFAS濃度が検出されたにもかかわらず、その事実を住民に公表していなかったケースもありました。これに対して、住民からは情報公開の遅れに対する批判の声が上がっています。
専門家からは、暫定目標値を超える地点がないか継続的に検査を行う必要性や、数値だけでなくその意味や背景などを含めて住民に丁寧に説明することの重要性が指摘されています。国は、自治体向けの対応マニュアルを改訂し、情報提供や健康調査への取り組みを強化する方針です。