日本経済新聞の記事を基に、全国の水道水におけるPFAS汚染の現状と今後の対策についてまとめた記事です。
2020年から2023年度にかけて、全国14箇所で水道水のPFAS(有機フッ素化合物)濃度が国の暫定目標値を超えていたことが明らかになりました。2024年度は9月末時点で目標値超過は確認されていませんが、過去4年間で岐阜県各務原市と岡山県吉備中央町では4年連続で目標値を超えており、深刻な問題となっています。
これらの地域では、活性炭による浄化システムの導入や水源の変更などの対策が実施されました。京都大学の原田浩二准教授は、これらの対策の効果が出始めており、継続的な監視と対策が必要だと指摘しています。
厚生労働省は、PFOSとPFOAの暫定目標値を水道水1リットルあたり計50ナノグラムと設定していますが、環境省はこの数値や位置づけの見直しを検討しています。現在、水道法ではPFASの検査義務がなく、事業者への管理依頼にとどまっています。今後、検査義務化や水質基準の設定などが検討課題となります。
今回の調査では、回答した水道事業者の約4割が検査実績がないと回答しており、検査義務の有無が課題となっています。環境大臣は、専門家の意見を聞きながら来年春までに方向性をまとめると発表しています。
PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれ、自然界に蓄積されやすく、発がん性が指摘されています。米国では既に厳しい規制が導入されており、日本でも規制強化が求められています。熊本県では、産業廃棄物処分場周辺の地下水からPFASが検出され、追加調査が行われています。また、岡山県吉備中央町では住民を対象とした血液検査も開始されました。
PFAS汚染問題は、健康への影響だけでなく、水道事業者や自治体の対応、そして社会全体の意識改革が求められる喫緊の課題です。今後、政府や関係機関による迅速かつ適切な対策が期待されます。