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環境省は、2024年度全国水道水調査の結果を発表し、国の暫定目標値を超えるPFAS(有機フッ素化合物)の検出事例がゼロだったと報告しました。2020年度以降では初となるこの結果に、環境省は自治体の対策の成果と評価しています。しかし、この発表には重要な情報が欠落しています。
今回の調査は給水人口の98.2%をカバーしていますが、小規模な専用水道8189施設分のデータは「集計中」です。この中には、過去にPFAS汚染が確認された自衛隊基地なども含まれており、これらの結果が発表されるまで、真の状況は不明です。
環境省は2024年度から、従来の大規模水道事業に加え、給水人口5000人以下の簡易水道や専用水道も調査対象に含めました。これは、岡山県での高濃度PFAS検出事例を受け、小規模水道事業者への検査結果報告を求めた措置です。しかし、11月29日の発表では、簡易水道事業の結果のみが公表され、専用水道については未だ集計が完了していません。
専用水道は、商業施設や学校などで利用され、井戸水を水源とするケースが多いのが特徴です。そのため、PFAS汚染のリスクが比較的高いと懸念されています。東京新聞と京都大学の共同調査でも、PFAS汚染問題が指摘されています。
環境省による今回の発表は、現状の一部のみを反映したものであり、安心するにはまだ早計です。全てのデータが公開され、全体像が明らかになるまで、国民の不安は払拭されないでしょう。小規模水道、特に自衛隊基地周辺の状況については、引き続き注視していく必要があります。