K-POPガールズグループNewJeansの5人全員が、所属事務所ADORとの専属契約を解除したことが大きな波紋を広げている。
11月28日に行われた記者会見で、メンバーたちは契約違反の改善を求める内容証明を2週間前に送付したものの、事務所からの回答がないことを理由に契約解除を発表。この背景には、ADORの元代表ミン・ヒジン氏と親会社HYBE間の経営権争いや、NewJeansメンバーへのいじめ疑惑といった複雑な問題が絡み合っている。
しかし、契約解除には大きなハードルが3つ存在する。まず、残存契約期間が3~5年と推定されており、ADORが契約解除の無効を主張し、巨額の違約金を要求する可能性がある点。次に、契約解除をめぐる訴訟が長期化し、活動休止に繋がる可能性がある点。そして最後に、グループ名「NewJeans」の商標権がADORに帰属しており、グループ名を使用できなくなる可能性がある点だ。
仮にメンバーたちがADORを離れても、従来のグループ名で活動を続けた例は過去にはない。グループ名を変更するか、もしくは旧事務所から使用許可を得る必要があるだろう。活動休止期間のリスクやグループ名の使用権問題に加え、韓国芸能界におけるプロダクション主導のビジネスモデル自体が問われている。
今回の騒動は、単なる契約トラブルではなく、K-POPアイドル業界の構造的な問題を浮き彫りにした。タレントの人権と尊厳、そして持続可能なアイドル文化の構築が、今後の課題として浮上している。韓国はグローバル展開に伴い法整備が進んでいるものの、タレントが声を上げやすい環境と、それに伴うトラブルの多発も事実。
今後の注目点は、テレビ朝日『ミュージックステーション』へのNewJeans出演の可否と、他のK-POPアーティスト、特にHYBE傘下のBTSの反応だ。BTSのリーダーRMは以前からアイドル文化への疑問を呈しており、今回の件への発言が期待される。
NewJeansの決断は、アジアのエンターテインメント業界に大きな変化をもたらす可能性を秘めている。この問題は、韓国だけでなく、同様の構造を持つ日本の芸能界にも大きな示唆を与えるだろう。