三菱UFJフィナンシャル・グループ（MUFG）が、ロボアドバイザーサービスを提供するウェルスナビの完全子会社化を発表しました。
MUFG傘下の三菱UFJ銀行は、ウェルスナビに対し、1株1950円（28日終値比84％高）で株式公開買い付け（TOB）を実施します。買い付け期間は12月2日から2025年1月20日までで、既に保有する約15％の株式に加え、残りの全株式を取得し、総額約997億円にのぼると見込まれます。
この買収は、政府が推進する「資産運用立国」戦略と、拡大するロボアドバイザー市場への対応という二つの側面を持っています。政府は、家計の金融資産を投資に回すことで所得増を目指しており、新NISAの開始など、個人金融資産形成を促進する環境整備が進んでいます。
ウェルスナビは10月末時点で預かり資産残高が1兆3386億円に達し、矢野経済研究所の予測では、日本のロボアドバイザー市場は2024年度に約3兆円、2030年度には約12兆円に拡大すると見られています。
MUFGは、今回の買収によって、ウェルスナビが目指す「個人向け金融プラットフォーム構想」の実現可能性を高め、最終的には包括的な「金融版スーパーアプリ」の構築を目指すと見られています。シティグループ証券のアナリストも、この買収がMUFGのスーパーアプリ戦略にとって重要な一歩だと指摘しています。MUFGは、auカブコム証券の完全子会社化と社名変更も発表しており、リテール戦略の強化を加速させています。
