人気K-POPグループNewJeansのメンバー5人が、所属事務所ADORとの専属契約を解除した。11月28日の記者会見で発表されたこの衝撃的なニュースは、K-POP業界に大きな波紋を広げている。
契約解除の背景には、ADORの元代表ミン・ヒジン氏とHYBE(親会社)との経営紛争が深く関わっている。代表権争いやNewJeansメンバーへのいじめ疑惑に関する国会ヒアリングなど、様々な問題が積み重なった結果、ミン・ヒジン氏はADORを去り、NewJeansメンバーも追随する形となった。
しかし、メンバーたちを待ち受けているのは、契約解除の有効性に関する法廷闘争、グループ名「NewJeans」の使用権問題、そして活動休止のリスクという3つの大きなハードルだ。契約にはまだ3~5年残っていると推測され、ADORは契約解除に容易に同意しない可能性が高い。違約金の問題も浮上しており、莫大な金額が請求される可能性も示唆されている。
グループ名の使用権も大きな争点だ。「NewJeans」はADORが商標登録しており、メンバーたちが今後、この名前を使い続けられるかは不透明だ。過去の事例を鑑みると、契約期間中の解除では元のグループ名での活動継続は難しい。
この問題は、単なる契約トラブルにとどまらず、K-POPアイドル文化そのものの将来を問うものだ。韓国芸能界はグローバル化に伴い法整備が進み、タレントの人権保護が進んでいるものの、依然としてこのような問題は発生している。NewJeansのメンバーには、オーストラリアとベトナム、オーストラリアと韓国の二重国籍を持つメンバーもおり、グローバル化が進む中で、従来の韓国特有のシステムが通用しなくなっていることが浮き彫りになった。
今後の注目点は、テレビ朝日『ミュージックステーション』への出演の可否と、他のK-POPアーティスト、特にHYBE傘下のBTSの反応だ。BTSのリーダーRMは以前からアイドル文化の課題について発言しており、今回の件へのコメントが期待される。
NewJeansの決断は、K-POP業界、ひいてはアジアの芸能界全体に、新たなパラダイムシフトをもたらす可能性を秘めている。アイドルの人権とビジネスモデルの両立という課題は、韓国だけでなく、同様の構造を持つ日本の芸能界にも大きな示唆を与えるだろう。