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日本の水道水におけるPFAS(有機フッ素化合物)の汚染状況に関する国家調査の結果が初めて公表されました。過去4年間(昨年度まで)で、14カ所で国の暫定目標値を超えるPFAS濃度が検出されたことが明らかになりました。しかし、今年度は全ての検査地点で目標値を下回っており、汚染状況は改善傾向にあります。
PFASの中でも、特にPFOSとPFOAは有害性が指摘されており、国は水道水1リットルあたり50ナノグラムを暫定目標値としています。今回の調査では、全国3755カ所の自治体・水道事業者を対象に、過去5年間の検査結果が報告されました。
その結果、2022年度には岡山県吉備中央町で目標値の28倍(1400ナノグラム)ものPFASが検出されるなど、過去4年間で14カ所で基準値超過が確認されました。しかし、これらの地点では水源の切り替えなどの対策が実施され、現在は全て目標値を下回っています。今年度実施された1745カ所の検査でも、全てが目標値を下回りました。環境省は、給水人口の95%で目標値を下回っていると発表しています。
一方で、目標値の半分(25ナノグラム)を超えるPFASが検出された地点は30カ所にも上り、汚染の完全排除には至っていません。また、PFASの排出源については、ほとんど特定できていません。さらに、全体の4割にあたる1528カ所で検査が行われていなかったり、回答がなかったりするなど、検査体制の強化が課題となっています。
国は今回の調査結果を踏まえ、暫定目標値を法的根拠のある水質基準に引き上げるかどうかを検討しています。また、自治体向けの対応マニュアルも改訂し、飲み水からのPFAS摂取防止の重要性や健康調査の必要性を強調しています。
一部の自治体では、過去に暫定目標値を超えるPFASが検出されたにもかかわらず、その事実を公表していなかったケースもありました。住民からは、情報公開の遅れへの不満や不安の声が上がっています。専門家からは、数値だけでなく、その意味や背景などを含めて住民に丁寧に説明する必要性が指摘されています。