NHKの報道によると、老舗繊維メーカーのユニチカが、赤字続きだった繊維事業からの撤退を発表しました。これは、同社にとって大きな転換点となります。
ユニチカは1889年、尼崎紡績として創業。日本の繊維産業発展に貢献してきた歴史を持つ企業です。しかし、近年は中国メーカーなどの低価格攻勢を受け、繊維事業は長らく赤字に苦しんできました。
今回の撤退決定に伴い、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行など主力銀行から約430億円規模の債権放棄を受ける見込みです。今後、地域経済活性化支援機構による増資を受け、同機構が筆頭株主となる予定です。現在の経営陣は原則退任します。
ユニチカ社長の上埜修司氏は記者会見で、これまでの構造改革では抜本的な改善に至らず、自助努力だけでは再生が困難と判断したと説明しました。地域経済活性化支援機構の支援を受けることで、金融機関との利害調整を行いながら、事業再生を目指します。
一方、ユニチカは食品包装や半導体関連材料などに使われるフィルム事業に経営資源を集中していく方針です。この分野は需要拡大が見込まれており、同社の今後の成長を牽引する事業として期待されています。
繊維事業については、来年8月までに譲渡先を決めることを目指し、協議が不調に終わった場合は事業の清算手続きに移行するとしています。上埜社長は、従業員の雇用維持に最大限配慮する姿勢を示しました。
地域経済活性化支援機構の渡邊社長は、ユニチカの製品が地域経済に及ぼす影響の大きさから、事業再生支援を決めたと述べています。ユニチカの高い技術力や競争力を評価し、再生への期待感を示しました。
ユニチカの今後が、日本の繊維産業、ひいては地域経済にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。