ⓒ NHK
全国各地で水道水から有害物質PFASが高濃度で検出された問題。NHKが独自に作成した全国マップが公開されたことで、国民の不安が高まっています。
岡山県吉備中央町では、水道水1リットルあたり1400ナノグラムものPFASが検出され、国の暫定目標値の28倍に達しました。住民からは、「突然、飲んではいけないと言われた」と、強い怒りと不安の声が上がっています。町では、住民を対象とした公費による血液検査を全国で初めて実施しました。
PFASは、様々な製品に使用される「永遠の化学物質」と呼ばれ、発がん性や子どもの発育への影響が懸念されています。国は、PFOAとPFOSの合計濃度について、水道水1リットルあたり50ナノグラムを暫定目標値として設定していますが、過去4年間で14か所でこの値を超えるPFASが検出されました。
NHKの調査によると、2020年から2023年までの間に、暫定目標値を超えた自治体は14か所にのぼりました。しかし、水源の切り替えなどの対策により、現在はすべての地域で目標値を下回っているとのことです。
今回の調査では、特に中小規模の簡易水道における検査の未実施が大きな課題として浮き彫りになりました。多くの自治体が「法的な義務がない」ことを理由に検査を実施していなかったことが明らかになっています。
PFASの排出源はほとんど特定されていませんが、吉備中央町では、ダムの上流に置かれていた使用済みの活性炭が原因と推測されています。
専門家によると、暫定目標値以下の数値であっても、目標値に近い場合は継続的なモニタリングが必要とのことです。また、家庭では浄水器の使用が有効な対策として挙げられています。
国は、今回の調査結果を踏まえ、PFASに関する水質基準の設定を検討しています。国民の不安解消のためには、国による情報公開と丁寧な説明が不可欠です。