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日本の水道水、PFAS汚染の現状と今後の対策

2020年から2023年度にかけて、日本の14ヶ所の水道事業所で、健康被害の懸念される有機フッ素化合物PFAS(ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA))の暫定目標値を超える汚染が確認されました。しかし、2024年度9月末時点では、目標値を超える事業所はありませんでした。

環境省と国土交通省は、全国の水道事業者3595事業所を対象に水質検査を実施。その結果、6割強の事業所で検査実績がありました。給水人口が少ない事業所も含まれた大規模調査は初めてです。

汚染が確認された事業所は、2020年度に11ヶ所、2021年度に5ヶ所、2022年度に4ヶ所、2023年度に3ヶ所と減少傾向にありますが、岐阜県各務原市と岡山県吉備中央町では4年連続で目標値を超えました。これらの地域では、活性炭による浄化システムの導入や水源変更などの対策が実施されました。

京都大学の原田浩二准教授は、水源の切り替えや活性炭処理の強化などの対策効果が出てきたと指摘。今後、検査の義務化を含め、継続的な監視と対策が必要だと訴えています。

厚生労働省は、水道水1リットルあたりPFOSとPFOAの合計を50ナノグラムとする暫定目標値を設定していますが、環境省は目標値の見直しを検討中です。現在、水道法では検査義務がなく、事業者への管理依頼にとどまっています。今後、検査義務化や目標値の個別設定などが検討課題となります。

今回の調査では、約4割の事業所で検査実績がありませんでした。測定義務がないことを理由とする事業所もありました。

環境大臣の浅尾慶一郎氏は、専門家の意見を参考に来年の春までに方向性をまとめると発表しました。

PFASは、自然界でほとんど分解されず蓄積されるため「永遠の化学物質」と呼ばれ、発がん性が指摘されています。国際がん研究機関(IARC)はPFOAを発がん性物質に分類しました。日本国内では、PFOSとPFOAの製造・輸入は原則禁止されていますが、土壌などから検出されるケースがあります。

PFASは様々な製品に使われており、欧米では規制が強化されています。米国は、PFOSとPFOAの規制値を1リットルあたり4ナノグラムと定めました。WHOも暫定ガイドライン値を示しています。

熊本県では、半導体関連産業の集積に伴い地下水保全への関心が高まり、産業廃棄物処分場の調査にPFAS検査を追加しました。南関町の処分場では、指針値を超えるPFOSとPFOAが検出されましたが、処分場が原因ではないと判断されました。

岡山県吉備中央町では、高濃度のPFASが検出されたことを受け、住民約800人を対象に血液検査を実施しました。これは、PFASの健康への影響を調べ、公衆衛生施策に役立てるための全国初の取り組みです。

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