オーストラリア議会上院は、16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法案を可決しました。この画期的な法案は、SNS運営会社に16歳未満の利用を制限する措置を義務付けるもので、違反した場合には巨額の罰金が科せられます。保護者や子ども自身への罰則はありません。対象となるのはInstagram、TikTok、Snapchat、X(旧Twitter)、Facebookなど。一方、教育目的で利用されるYouTubeなどは除外される予定です。
オーストラリア政府は、この法案を「世界的に見ても先進的」と位置付け、1年後を目処に施行する方針です。しかし、年齢確認方法や個人情報保護といった課題も指摘されており、今後の対応が注目されます。国民の77%が法案に賛成しているものの、これらの課題の解決なくしては、法案の施行は難しいでしょう。
世界各国でも、未成年者のSNS利用を巡る議論が活発化しています。フランスでは15歳未満のアクセス制限、アメリカの一部の州では保護者の同意が必要とする法律が制定されています。ノルウェーでは15歳未満の利用禁止に向けた議論が進められていますが、子どもの権利擁護団体からは、表現の自由や情報へのアクセス権を侵害するとの懸念の声も上がっています。EUはターゲティング広告の禁止、イギリスは有害情報からの保護を目的とした法律を制定するなど、各国がそれぞれの対策を講じています。
日本では、林官房長官と三原こども政策担当大臣が、ネット上のいじめや誹謗中傷、児童ポルノといったSNS関連の被害への懸念を表明。こども家庭庁のワーキンググループで課題の整理を進め、安全なインターネット環境整備に向けて取り組む姿勢を示しました。